2001年 第2次西域南道探検隊 "らくだの旅"日記


記 長谷川 進


9月22日(土) みそ汁をひとついかがです


 

 中央電視台、中国のテレビ局がラクダの旅の取材でついて歩いている。今日は出発の様子を撮影する予定だったが、曇り空なので延期となった。

 朝食はうどんと揚げパン、キュウリのごま油炒め。うどんがおいしい。シルクロードは麺ロードという人がいるが砂漠にも麺を売る店がところどころにある。それは道班事務所の前で、定期バスが来ると、乗客に手打ち麺を茹でて、売って商売をしている。

 


 景色がちょっと変わってきた。平らで一直線の砂漠が終わり、小さな峠を上り下りする道になった。5キロ毎に休憩をしたが、後方の人たちとの差は広がるばかりだ。今日は向かい側から来る車の数が多くなった。オアシスの町チェルチェンが近づいたためだろうか。 まわりはみんな砂・すな・スナなのに蟻を見かけたことがない。

 砂漠は砂ばかり、と思ったら、ここタクラマカン砂漠は小石、中石、時には大きな石と砂利まじり、そして時には金粉のようにさらさらとした黄色の細かな砂ばかりというところもあった。ゴビ砂漠というと「万里の長城で……すればヨイヨイ、ゴビの砂漠に虹が立つ……」の蒙古高原南東部の砂漠だと思っていたが、ああ、おれの知識はそんなものなのか、ゴビというのは蒙古語では砂礫を含むステップのことだという。そうこのタクラマカン砂漠はまさにその通りの「ゴビの砂漠」なのだ。ステップに生える草はヨシ、生える木は胡楊。崑崙の雪解け水が大きな石を運んできて、砕いて、丸めているのだ。

 


 60cmくらいのちんまりとまるっぽく丸まった、枯れたように見える潅木が、碁石を並べたように散らばっているが、よくみると小枝には黄色い小さな花が咲いているものもある。

 昼の休憩にはきれいな砂丘を選んだ。金粉のようなさらさらの砂粒に足をゴソゴソと潜らせる。ヒヤッと気持ちいい。裸足で歩くと金色の砂がサクサクと足の裏をくすぐりゾクゾクとする。疲れた足がホッと吐息をはいていた。太陽の光が柔らかい。心地良い日向ぼっこの時間が楽しめた。

 昼の弁当のメニューは全く変わらず、マントウ、ソセージ、リンゴ、ジュース、スイカ。マントウはパサパサ。パンをあまり好まない自分には征服するのが至難の業。

 午後から薄日が差してきた。昨日5キロも余分に歩いたので今日は「エッ、もう終わりなの」という22キロだった。中国隊に日本の料理を作ってご馳走するということになっていた。厨房テントで岡野さんや西脇さん、中島さん、福島さん、大森さん、奥澤さん、井町さんなど女性有志に協力して包丁を握り、ジャガイモとたまねぎの味噌汁・キャベツの塩もみ・厚焼き玉子を作った。なかなかの評判で日本料理人たちは気分をよくしていた。

 バスやトラックの日陰に集まり、世間話をし、ビールを飲んでのんびりするのも悪くないものだ。非日常体験の極致かもしれない。


 


9月21日へ 目次へ戻る 9月23日へ